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酩酊者の責任

相談内容

 Xさん(34歳 男性)は某社に勤務するサラリーマンです。ある日、Xさんは、職場の同僚と一杯飲んでから帰宅しようと考え、同僚数人と居酒屋に行きました。Xさんは、根っからの酒好きなのですが、飲むと怒りっぽくなるところがありました。そして、この日もかなりのお酒を飲み、店を出たときには千鳥足で歩くのがやっとの状態です。
 Xさんは、同僚と別れ駅に向かいましたが、ホームを歩いているとき、XさんはYさん(40歳 男性)にぶつかってしまい口論となりました。騒ぎを聞いて駅員Z(30歳 男性)が駆けつけ、二人の仲裁に入りました。
 しかし、Xさんは、ひどく酩酊していたため、自らの非を認めず、「おい、こら、誰に手出しとるんじゃ」などと逆にZに文句をつけ、Zの胸を押し、Zの顔面を殴りつけてしまいました。これにより、Zは、口の中を切り、全治1週間の傷を負ってしまいました。
 そのままXさんは、警察署に連れて行かれ、警察署で一晩を明かしましたが、Xさんは、酔っていて、事の顛末を一切覚えていません。この場合のXさんの責任はどうなるのでしょう。

解決方法の一例

1 酩酊者の責任
 今回、XさんはZの胸を押し、顔面を殴り、全治1週間のけがを負わせていますので、Xさんは傷害罪(刑法第204条)の罪に問われ、Xさんには15年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
 ところで、今回、Xさんは、ひどく酔っていて、Zさんを殴ったことを全く覚えていませんし、お酒を飲む前からZさんを殴ろうと考えていたわけでもありません。この場合でもXさんは責任を問われるのでしょうか。
 答えは、もちろん責任を問われます。その理由については、様々な考え方がありますが、Xさんとしても、飲むと怒りっぽくなることを認識していたのですから、この結果は甘受せざるを得ないのではないでしょうか。

2 解決のために
 
今回の被害者は駅員のZで、幸い怪我も全治1週間と重傷ではありませんから、Zと示談をするというのが現実的です。
 場合によっては、相手方が示談を拒否するということも考えられますが、謝罪を繰り返すことで、相手方の態度が軟化することも考えられます。

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 仮にXさんが逮捕されてしまったとすれば、最大23日間でXさんの処遇が決まります。この期間は警察署に入っている人にとっては、非常に長いと思いますが、実際、示談に動くためには、相手方の都合もありますし、態度を軟化させるためには時間がかかる場合もあります。しかも、相手方の連絡先を教えてもらうためには、検察庁に連絡する必要があるのですが、土日は対応していただけませんので、示談をするのであれば、1日も早く動く必要があるのです。
 仮に逮捕されていないとしても、被害者が加害者に対し嫌悪感を抱いている可能性もありますので、当事者同士での話し合いよりも、第三者による話し合いの方が相手方も話し合いに応じやすいでしょう。
 弁護人として、行動するためには、別途契約を締結していただく必要がありますが、1日も早く弁護士とアクセスするためには、顧問契約を締結しておくというのも有効な手段です。


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